2012/04/01
会員のI.H.さんから寄稿された体験記の第2回目です。
フィンランドのウィンター トレーニングに4日間参加し、日本に戻ってきて改めて感じた氷上トレーニングの効果、そしてその後ポルシェクラブ六本木に出会い、ポルシェクラブ六本木の2011年氷上トレーニングに参加して感じた素晴らしさが書かれています。
I.H.
最終日の4日目、この日は全長が10キロ位あるコースを走りこみました。今までの3日間の練習で氷上走行にも慣れ、ある程度クルマのコントロールが出来るようになり、自分なりに楽しく走れるようになっていました。
終了したときは走り足りなくて、参加者の皆さんともっと走りたいねと話したことを覚えています。初日の落ち込みを考えると、ありえないほど楽しい気持ちでトレーニングを終えることができました。
帰国後には箱根のターンパイクに走りに行ってみました。半信半疑だった氷上トレーニングの効果を試してみるためです。この頃に乗っていたのは、アウディA3の四駆でした。自分の勝手な感覚ですが、なんと、ラップランド前よりも格段に楽しくクルマを運転できるようになっているではないですか!
氷上走行恐るべしです。インストラクターの方がおっしゃっておられた、「氷上でのトレーニングが最も効率的に運転技術が向上し、私でも4日間で最終日には氷上をドリフト走行できる」というのは嘘ではなかったと思います。
翌年の2009年、私は再び国内でのアウディドライビングスクールに参加し、個人でも女神湖での氷上走行に参加して、氷の上を滑って楽しみました。ボクスターを2008年12月に発注し、2009年5月には納車予定だったため、氷上走行にはしばらく来られないと思うと、ボクスターに乗り換えなくても良いかもと少しだけ後悔しました。氷上ならクルマは「四駆」と思いこんでいましたし、周りの友人からもボクスターで氷上走行なんて無謀だと言われていました。
しかし、ボクスターが納車され、ミッドシップの運転に慣れてくると、私はいつかボクスターで氷上走行にチャンレンジしてみたいと思うようになりました。
氷上でのトレーニングは、私にとって、お金も時間も最も効率的に運転技術を向上できる手段であり、安全運転の向上にもつながるからです。
ポルシェがラップランドでウインタートレーニングを実施しているのは知っていました。また、ポルシェクラブ六本木が国内でウインタートレーニングをやっていたり、女神湖にポルシェが来て氷上走行をしているのも知っていました。
しかし、私の運転技術では、ミッドシップのボクスターで氷上を走れるわけがないと思い、2010年には申し込む勇気を出せませんでした。
2011年1月、ポルシェクラブ六本木とBMW関係のお知り合いから、氷上トレーニングのご案内をいただきました。両方ともに四駆がメインのグループでは無く、後輪駆動がメインのグループです。
ポルシェクラブ六本木の案内には、コンチネンタルのウインタータイヤも紹介してくださるとの文言が書いてあり、思い切って小松さんに電話をしてみました。
小松さんには、もう締め切りが過ぎているのに快くタイヤのお手配をしてくださるとおっしゃっていただきました。また、氷上走行には女性もたくさん来ているので心配しないで参加してくださいとのお言葉でした。
ポルシェクラブ六本木の氷上トレーニングは4日間のプログラムでした。
以前参加したラップランドでの経験から、今回も4日間参加した方が良いと思ったのですが、仕事の調整ができず2日間参加の予定で申し込みをしました。
2011年1月、初めてウインタータイヤを装着し、ボクスターで八千穂レイクに向かいました。到着すると、たくさんのポルシェが集まっていました。初めに気がついたのは、この日の女性の参加者は私一人だということでした。小松さん、話が違いますと言っても仕方ないですし、ご一緒した皆様はとても良い方々でしたので、ちょっと寂しかったというだけです。
1日目のトレーニングが始まると、初心者はまずスラロームと定常円から練習を開始することになりました。グリップの弱いウインタータイヤ、ミッドシップでの初めての氷上走行です。最初はクルマの挙動が掴めず、ほとんどコントロールできませんでしたが、半日ほど練習すると、だんだん感覚がつかめてきました。
午後からは八千穂レイクに設定されたコースを走りました。コースは、直線といろいろなカーブを組み合わせた複雑な設計になっており、また、路面状況も変化するため、クルマをその時の状況に応じてコントロールする必要がありました。どのように操作すれば、クルマを上手にコントロールできるか、常に考えながら練習に取り組みました。
日が落ちて真っ暗になると、氷上にライトを置いてキャンドルトレーニングが実施されました。月明かりと氷上のライトとクルマのライトだけという真っ暗中で、数時間とにかく走りました。
以前、ラップランドのトレーニングでも夜間に氷上を走ったことがありますが、夜間というのは周りが見えないので感覚が研ぎ澄まされるような気がします。クルマのコントロールの感覚を磨くには夜間トレーニングはもしかしたら適しているのかもしれません。
2日目は1日中、朝から晩まで八千穂レイクのコースを走りました。何度か雪に突っ込んだり、スタックして助けていただいたりしましたが、ひたすら練習を続けました。
今回のトレーニングで学んだことは「待つ」、「丁寧な操作を行う」、「常にクルマの状態、特にタイヤのグリップ感に気をつける」ことでした。
私が今まで氷上で乗っていたクルマは四駆のため、お尻を出した状態でアクセルを踏んで前に進むことができますし、多少荒い操作をしてもあまりコントロール不能になることはありませんでした。
ミッドシップのボクスターでは、操作のタイミングを誤ったり、少し荒い操作をすると、あっという間にコントロール不能になってしまいます。お尻を流して滑っている間は待ち、タイヤのグリップを探りながらでハンドルとアクセルの操作をタイミング良く行う。「ここは待ってよ~」と一人でつぶやきながら繰り返し練習しました。
ポルシェクラブ六本木の氷上トレーニングには、ドイツからカウフマン先生が招聘されていました。カウフマン先生がつくる氷上のコースは毎日何度も長さや設計が変更され、まるでラップランドで走っているようでした。
また、ラップランドでもそうでしたが、海外のインストラクターは最初にやることを簡単に説明して、あとはひたすら練習を続けるように言われます。もちろん、必要な時にアドバイスはいただけますが、国内でのトレーニングのようなきめ細やかな指示はありません。
うまくいかなくても、うまくいっても、とにかく自分で考えながら続けること。そうすることで、体が感覚を覚えていくのかもしれません。
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