ニュルブルクリンク スクーデリア・ハンセアート体験記

2012/05/06

毎年春と秋にニュルブルクリンクで行われる「スクーデリア・ハンセアート」。

ちょっと古いですが、2010年5月に参加された N.K.さんの体験記です。

ニュルを走りたい!とお考えの方はぜひ参考にしてください。


スクーデリア・ハンセアート参加レポート(2010年5月5日~8日)

N.K.

<スクーデリア・ハンセアートとは?>

  •  ADAC(ドイツ自動車連盟…ヨーロッパ最大の自動車連盟、ニュルブルクリンク24時間レースの主催者でもある)が主催する、歴史と権威のあるドライビングスクールです。
  • 世界中のスポーツドライバーの聖地「ニュルブルクリンク」の北コース(ノルドシュライフェ)とグランプリコースをつないだ全コースを使って行なわれます。
  • 北コース:全長20.8キロ、高低差なんと300メートル、73(数え方によっては172!)ものコーナーを持ち、世界一過酷と言われる長距離、難コース。別名「グリーンヘル(緑の地獄)」。最近では日産GT-Rがこのコースでのタイムをポルシェと競ったことで有名です。
  • グランプリコース:F1も行なわれる世界有数の現代的で安全な素晴らしいサーキットです。
  • 毎年春と秋の二回開催され、ヨーロッパ各国から、モータースポーツを愛する200人以上の人々が参加しています。参加者の3分の2は熱心なリピーター、ということからも分かるように、何度参加しても飽きない、魅力的なスクールです。
  • 基本的に自分の車での参加ですが、古今東西ありとあらゆる高級スポーツカーが惜しみなく持ち込まれています。しかし、なかでもやはり一番多いのはポルシェでした(クラシックから最新まで多くのモデルが参加し、貴重な959まで参加していました)。
  • 日本から参加の我々は、コース近隣にあるサーキット用レンタカー屋さんでVWシロッコTFSI(2リッターターボ、レース用にロールバー装着)をレンタルしました。
  • スクーデリア・ハンセアートは非常に人気が高く、参加枠を確保するのが非常に難しいのですが、ポルシェクラブ六本木はスクーデリア・ハンセアート主催者幹部とのパイプがあるため、まとまった参加枠を確保することに成功しています。

<ドライビングスクール・プログラム>

  • 水曜から土曜までの4日間で構成されます。非常に濃密なトレーニングプログラムで、かつヨーロッパの自動車文化を肌で感じることができる夢のような4日間です。
  • 水曜…初級者にはコースに隣接する安全走行センターでの低ミュー路などを使った基礎訓練が用意され、上級者には北コースが開放されて思う存分自由走行ができます。富士スピードウエイなどの走行経験のある我々は「上級者」として自由走行を選択。長大な北コースに少しでも早く慣れるために現地のインストラクターを雇って練習走行をしました。
  • 水曜夜…サーキット場にある高級ホテルの大会場で、スクールのスタートを祝うディナーがあります。主催者・来賓の挨拶が延々と(笑)続く、格式高いパーティーです。
  • 木曜~土曜午前中…本格的トレーニングの開始です。朝7:45にサーキットのホームストレート上に集合。あらかじめ決められた12のグループに分かれ、インストラクターに引率されコース上の各セクションへ向かいます。

    全コースを約1~2キロ毎の12のセクションに分割し、各セクションでのライン取りを教わります。教え方はセクションによって多少異なりますが、まずライ ン取りの説明をした後、1人ずつ走行をさせてインストラクターが評価・解説・アドバイスを与えていきます。セクション内を何度も往復して、1セクション1 時間半程度の時間をかけて丁寧にラインを覚えます。
  • ランチタイムをはさんで早朝から夕方まで、セクションを移動しながら、トレーニングを続けていきます。単調に思えるかもしれませんが、なにせ北コースは日 本のサーキットからは想像もつかないような高低差、3次元的にうねるようなコーナー、アップダウンによるブラインド、ジャンピング直後にブレーキ&ター ン、石畳のように荒れた路面のバンク状ヘアピンなど、ジェットコースターに乗っているかのような過激で多様なコースなので、楽しくて仕方がありません。

    ランチタイムの一部と夕方トレーニング終了後には、それぞれ1時間程度のフリー走行枠があり、やる気と体力があれば、復習をかねて思う存分コースを走り込むことができます。
  • 土曜午後…コース全体を使ったファイナルテストがあります。一人ずつ順番にスタートして連続して全コースを走りきります。速さではなく、教わった通りのライ ンでいかにキレイに走ることが出来るかをコース各所で採点されます。速さではないと頭で理解しつつも、自分の番になり走り始めると必要以上にコースを攻め てしまい、結果、ラインを外れることしきりでした(反省)。
  • 土曜夜…スクールを締めくくる豪華なディナーパーティーです。各グループのテスト結果優秀者が表彰されトロフィーが授与されます。また最優秀グループも発表されるため、常連者の多いグループは優勝を期待し、また顔見知りが多いということもありとても盛り上がっていました。
  •  今回は残念ながらポルシェクラブ六本木メンバーは表彰されず、小さな記念品カップをもらうだけでしたが、昨年は1人が成績優秀者として表彰されました(素晴らしい!)。

<最後に>

 

ドイツの田舎ということもあり、否応なしに日本での日常生活から隔離され、純粋にサーキットで走ることだけに専念できた夢のような体験でした。

 

北コースは20キロを超える長さなので、初めは自分がどこを走っているのかサッパリ分からず、果てしなく続くコーナーの連続にただただハンドルを切っていくだけでした。しかし、スクールでセクション毎に時間をかけて教えてくれたおかげで、最後にはコース全体をある程度つかめるようになってきました。自分でやみくもに走っているだけだったら、いつまで経ってもコースを覚えることは出来なかったでしょう。

 

この難コースを無事に走りきれたことは、日本のサーキット走行での自信につながると思います。

スクーデリア・ハンセアートに参加し、ニュル ブルクリンクのコースを走ることは、もちろん文句なしに楽しく素晴らしいのですが、それと同等かそれ以上に、ヨーロッパ、とりわけドイツにおけるモーター スポーツの文化に直に触れることができたということが、何にも代え難い貴重な体験でした。

 

日本からの参加は決して安くない費用が必要となりますが、モータースポーツを愛するポルシェクラブ六本木メンバーの方々にとっては、十分に費用以上に価値のある体験になると思います。

 

私も仕事のスケジュールに都合つけば(それから家族の理解も得られれば!)、是非またドイツへ飛んでいって、スクーデリア・ハンセアートに参加したいと思っています。

 

以上