ニュルブルクリンク(海外版スポルトファーシューレ)
2回目 参加レポート(鮎澤小百合)2024年 春
2024/5/3(金)成田発~ドイツ到着
出発前、難問積載の仕事に疲れ果て、旅行前の高揚感もないままニュルへ向かう。飛行機の中で、ワイルドスピードとグランツーリスモを観て気分を盛り上げたつもりでもまだモヤモヤな感じは続いたまま。
フランクフルト空港へ到着。クラブ長老の小松さんからの提案で2ヶ月前のスペインに続きドイツでも、抹茶を振舞う事になった。着物のほか、抹茶やお茶碗、茶筅など旅籠のセットを用意。今回もまたまた大荷物になってしまった。
レンタカーでアウトバーンを200km走り、日本では真夜中であろう時間にレストラン「ランテルナ」へ。シルビアさんのホテル「ランテルナ」も懐かしく、でもすぐ昨日の出来事だったように感じた。
明日はメンバーのNさんが去年とあるきっかけで買った新型GT3ツーリングを皆で取りに行く予定。スクーデリアが5月5日から4日間ありカリキュラム後、自由行動が2日間あるが、今年も予定は未定。
2024/5/4(土)
初めて992型GT3ツーリングと対面、ブラックでエレガントな佇まいはこれぞ「ポルシェ」という感じがした。このポルシェは、去年、パーティー会場の駐車場で私たちの運転する車が接触事故を起こしてしまい、その被害者クリスチャンさんとNさんが仲良くなり、彼が所有する新車を購入したのだ。Nさんの思いっきりのよさには驚かされる!
そのポルシェの慣らし運転に連れて行って貰った。滑らかな走りとエンジン音、ブラックで統一されたオシャレなインテリア。どれをとっても心を躍らせる魅力が満載されていた。
アウトバーンを暫く走ると、曇り空がやがて、青い空に変わった。心もすっかり軽くなって、幸せな気分になった。やはりポルシェは最高の車!!
……でも、楽しい思い出だったはずが、帰国後、クリスチャンさんのところに警察からスピード違反の通知。罰金が40ユーロ。
速度無制限で知られるアウトバーンでも区間によってはスピード違反に。クリスチャンさんが代わりに払ってくれているみたいだ。「GT3を楽しむために40ユーロを支払う価値は間違いなくありました」と優しいクリスチャンさん。新たな人との出会いも海外版スポルトファーシューレの魅力だ。
TRIERの駅でUターンして、その後コース見学。Nさんは8回もスクーデリアに参加しているとのこと。しかし、今年は残念ながら仕事の関係でファイナルテストには参加せず帰ってしまう。
今年のスクーデリアはゴールデンウイークと重ならず、来られなかった人たちが何人かいる。去年、ギャラリーコーナーでどうやって走るかを説明して貰った光景が浮かび上がった。
やっと、ニュルに来た実感が湧いた。コース沿いにあるマウリさんのイタリアンレストランも、皆でワイワイ食事した楽しかったニュルを思い出させてくれた。
それから、スクーデリアの受付やサーキットレンタカーのテオさんのところに。ゴールデンウイーク前からどんどん円安が進んでいた。ポルシェケイマンのレンタカー代も保証金も円に換算すると凄く高かった。
それなのに、スクーデリアでは連日の雨。車が滑る度に保証金の金額が頭をよぎり、必死にハンドルを握り締めた。特にグランプリコースでは、ブレーキを踏むたびに一回転しそうな感じで後続車とぶつかりそうで怖かった。
2024/5/5(日)
スクーデリア1日目、ドリフトや危険回避の訓練。今年は初心者だけではなく経験者も。学生で参加している21歳小松君がいい運転をしている。車のコントロールが良く出来ていて、立て直すのが早い。
小松君が本コースを走っている動画をFacebookにUPしたらしい。私が助手席に座っている。コースのライン取りが本当に上手くて褒めまくっている一方、主人の運転のダメさを言っていて、さすがに主人と気まずい雰囲気に……。
「小松君、動画を撮っている時は撮っていると一言いってよ!」きっと高尾君(高校3年)がセットしてくれたGoProにも、主人と険悪なところが写っているのでは?「お願いだから公開しないでね!」
2024/5/6(月)
スクーデリア2日目、雨。ピットは去年と違いオシャレに。赤い照明や白いテーブルクロスなどで雰囲気を盛り上げてくれている。お昼のビュッフェも御馳走が並んでいて美味しそう。
また、スクーデリアもコースを区切ってのセッションではなく、講師の先生の車の後に続いてのカルガモ走行だった。ニュルブルクリンクは、北コース20.8kmグランプリコースを合わせると約25km、高低差300mもあり大小170を超えるコーナーがある巨大なコース。トランシーバーを使って先生のアドバイスを聞きながらコースを走れるのはとても良かった。
講師のオリバー先生は、クリッピングポイント、ハンドルの舵角、何度も何度も同じ事を実況中継で繰り返し教えてくれた。コース全体がわかり感覚が掴み易かった。
さらに、メインとなるコーナーのコース上を降りての説明もあり、路面上のクリッピングポイントの白線や白丸をじっくり確認出来た。今は封鎖されているショートカットが出来る急勾配のコースも、歩いて見ることが出来た。
2024/5/7(火)
スクーデリア3日目、雨。それにしても、ずっと雨。でも、カルガモ走行は雨だったことが幸いし、スローペースでポイントを確認しながら走る事が出来た。通訳もスピードが速くなると訳しきれない。
通訳の姜さんが「遅めのクリッピングポイントを取ります。ここからずっとライン通りに全開加速します。路面が変わるところで180度ステアリングを切り、侵入速度は140km/h。マーシャルポスト辺りで右に寄せて……」と、ずっとトランシーバー越しに解説してくれた。
ピットでの休憩中に元F1ドライバーのベルナント・シュナイダーさんが来てくれた。「鈴木亜久里と同じチームだった。」とシュナイダーさん。日本語が上手だった。こんな凄い人と話せるなんて感激だった。
5月7日は小松さんの誕生日でもあった!「Happy Birthday」を歌いみんなでお祝いをした。ケーキを買ってきてスパーリングワインで乾杯!みんなに慕われている小松さん。
弁護士のフォルムバームさんやシャラーさん長年の友人との再会もあり、小松さんの人脈の広さには今回も驚かされた。また、バーベキュー大会の出来事は、斉藤さんの思いやりの深さと正義感に心打たれる場面もあった。
2024/5/8(水)
スクーデリア4日目、最終日、やっと晴れた。参加者全員でカルーセルに集合し、集合写真を撮った。凄い台数の色とりどりのポルシェが並んだ光景は圧巻!
そして、スクーデリアを締めくくるファイナルテストがある。今年のスクーデリアの目標はなんといっても名誉挽回!去年私だけが100点を超えられなかった…その屈辱を晴らすべく参加したのだ。
カルガモ走行もかなり上手く走れた。コースのライン取りもしっかりイメージ出来る。コーナーのポイントも覚えた。後はアクセルワークをしっかりすれば大丈夫かも!?
いよいよファイナルテスト!!軽めの昼食を取った後、ピットロードで待機、先生の説明を思い返し、後は、集中して走るだけ。旗が振り降ろされスタート!
グランプリコースは、やっぱり滑ったけど順調に走れた。ノルドシェライフェへ、2kmのポストも教えられた通り通過、順調に走っていたところ途中まだ濡れていた路面のところでスリップ!「しまった!」と思ったがなんとか立ち上がれた。
……ジャンピングスポット手前で「レッドフラッグ!!」。何かあったのかな!と思いながら走っていたら目の前に事故車が、半壊状態で横転していた!
暫く止まっていて、「ゆっくり走って」と言われ事故車を横目に走行再開。気持ちを切り替えてテストに集中。ミニカルーセルを曲がれば終わりだ!何とか自分なりに走り切ったように感じた。
テスト結果は119点!去年よりは大幅UP!良かった。参加して良かった。大満足だった!!来年もニュルに来られますように!!
2024/5/8(水) 夕刻~
テスト終了後にファイナルパーティーがある。今年は、抹茶を振る舞う予定だ。
髪をセットして着物を着て、準備に3時間は掛かる。時間が取れるのか心配だった。やはり、ギリギリだった。
抹茶はもう無理だと思って、会場に持って行かなかった。一度は置いてきた旅籠の抹茶セット、だけど、偶然ホテルに引き返す事になってやはり持って行こうと決意した。でも、お湯は用意出来るのか?出すタイミングはあるのか?不安だらけだった。
しかし、なんとかなるだろうとの確信はあった。ニュルに来る2か月前の3月にスペインで文化交流事業があった。日本文化の茶道を紹介するのに古城で地元の人を招いてのお茶会だ。
「古城」は、写真で見るとロマンチックなお城だけど、実際に行くと埃だらけで水道設備はトイレにしかなかった。そんなところで汚れているブルーシートならぬ、白いシートを敷いて赤い毛せんを敷いて、着物を着て大変な思いをして会場作りをした。手も真っ黒。そんな中、事前準備もなく開催出来たのだ。
お湯が入ったポットを頼むのに苦労したが、なんとか2本も用意できた。菓子器には、5月5日の子供の日にちなんだ「こいのぼり」のお菓子を並べた。主人も着物を着てお運びでお菓子を持って行き、このお菓子には強くたくましく成長するようにと願いが込められていると説明をした。
社長のステファニーさん、前社長のボーラーさん、顧問のクレヨンさんほか役員の方々、講師のクラウディアさんはじめ先生方、お隣のテーブルと20杯位は振舞った。
茶道の先生にお道具を借り、割らないように抹茶茶碗を持って行くのは大荷物で大変であった。だけど、外国の人に抹茶を振舞って喜んで貰えたのはとても嬉しかった。それ以上に、一緒にニュルを走り切った仲間と、このニュルを制覇した気持ちでの一服はとても素晴らしいものだった。
4日間のスクーデリアも無事に終わって、サーキットレンタカーも無事に返却出来た。ただ、フリー走行でたくさん走った為か規定周回をオーバーして追加料金1300ユーロ発生!してしまった。
2024/5/9(木)
今日は、抜けるような青空と清々しい空気の中、今日の宿泊場所であるシュトゥットガルトに向けてゆっくりとライン川沿いをドライブすることになった。
途中立ち寄ったラーンエッグ城は、高台にあってライン川が一望出来る素晴らしい景色の場所だった。ガイドのおばさんの説明を聞きながら城内ツアーに参加した。少し前まで100歳になるおばあさんが住んでいたとか、キッチンセットもそのままで、甲冑なんかも無造作に置いてある。実際に子供たちはその甲冑を被る事が出来た。小松さんも一緒になって被っていたのが面白かった。
昼食は、隣のカフェテリアで、屋外の見晴らしのいい木陰の下で食べた。私は、連日食べ過ぎだったので、控えめにひき肉入りのスープを頼んだ。それがとても美味しくて、これだけでもドイツに来てもいいと思った。
車中、小松さんの奥さんが隣の席だった。友達との旅行やお孫さんの話をたくさんしてくれた。「年をとるとねぇ。自分中心になっちゃうのよね。…」普段は物静かな小松さんの奥さんなのに、小松さんがいないところではこんな流暢に話すのかなとちょっとびっくりした。みんなに囲まれてこんなドイツに来られるのはとても幸せ、自分の目標にしたい。
ライン川を下って有名な白いお城、イノシュヴァンシュタイン城まで行こうとしたが、シュトゥットガルトからは遠い。スイスやオーストリアの国境沿いだ。次の日の帰国の日に決行した。
2024/5/9(金)
片道約3時間。イノシュヴァンシュタイン城まで駐車場から更に歩いて行かなければいけない。もう時間がないので、なんとかお城を写真におさめて帰路へ。また3時間、アウトバーンを飛ばした。
途中、渋滞に巻き込まれて、帰国の便に間に合わないんじゃないかと思った。「ポルシェデザイン」のお店で、お土産を買いたかったが、タイムアウト。来年のお楽しみになった。空港で最後の乾杯をして帰国の便に乗った。最後までハラハラドキドキのドイツ旅行だった。
おわりに
今年も運良く行けたニュル。一緒に参加出来た皆様との交流は、なによりも私の一生の宝物になりました。小松さん夫妻の今まで築き上げたドイツでの功績に感謝し、企画してくださった皆様にお礼を申し上げるとともに、今後のポルシェクラブ六本木の益々の繁栄をお祈り申し上げます。
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