ニュル遠征記
by 高間康之
雨多し。ただ、一行が外を歩くときは傘を差すほどの雨には見舞われず、好調。
いまいち慣れない右側通行、ラウンドアバウト、左ハンドルMTの日産キャシュカイに苦戦。
ここで一つ覚えました! コップだけ見ずに、相手の目を見てツンボール。
訓練前日。この日もあんまり天気良くありません。本番ダイジョブかいな。。。
Dorintホテルで受付です。
食事のときに首にかけてもってこいと言われ、簡単なスケジュール表も書いたパスがあったのですが、
何故か私のはドイツ語仕様。 同行の加藤さんは英語なのになぜ??
グループ2の、ゼッケン212となりました。
後で知ることになりますが、このときの受付嬢、レディース部門の優勝者でした!!
続いてRent Race Carでこの訓練期間中の愛機のレンタルです。
VW シロッコ CUP+です。
リヤセクションは本気モンのロールケージが入っています。
これだけ固めてあると、FFでもリヤタイヤがちゃんと仕事してる感があり、安心して乗っていられました。
日本のマイカーも、ロールケージ入れようかな? と、結構本気で考え始めました。
使用上の注意点の説明を受けました。サスペンションセレクト、雨の日はコンフォートだよ。晴れの日でもノーマルで。
スポーツは使わないの? と聞いたら、使っていいのはグランプリコースだけだ。
ノルドシュライフェは晴れててもノーマルなんだ。だそうです。
スタビリティーコントロールは切るんじゃないぞ!
実際走ると、バカバカ制御が介入して来るので、面白みはありませんが何度か命を助けられんたんだと思います。
訓練初日です。
前日までが嘘のような晴天。日頃の行いのなせる業ですな。
はじめての訓練参加者には、緊急回避の訓練がありました。
日本でいうと、FSWのモビリタみたいな施設が隣接してあり、
濡れた鉄板の上でのパイロンスラローム、通過すると左右どちらかに動く床によって
リヤタイヤが飛ばされ、テールスライドした車を立て直すなど、基本的な訓練ですね。
ビックリしたことに、このとき現れたインストラクターは、
なんと、我らがカウフマン!
気のしれた仲間のアドバイスを受け、楽しく訓練できました。
午前中で自分の訓練は終わりましたが、カウフマンは午後の部もインストラクター継続だそうです。
仕事を終えたら宿に来てもらう旨の話をしている中、カウフマンからありがたい提案が。
「ノルドシュライフェ、シロッコ乗ってやるから行こう! チケット買っておいてね」と。
2つ返事でOKしましたが、1つ勘違いしてました。
自分が運転で、カウフマンが助手席に乗ってやると言ってるのかと思ってましたが、流石に逆でしたね(笑)。
夕方。待ちに待った初ノルドシュライフェです。
日本にいる間に、プレステで50時間程度練習してたのもあり、カウフマンの運転でも目はついていけて、流れる景色は同じような感じです。
プレステと違う印象だったのは、思ったより道幅が広い。
プレステでは通って良いラインは1本しかなく、踏み外せば即ガードレールの刑でしたが、本物は車2.5台分ぐらいは自由度があり、これならライン教わるのも意味があるなぁと、思い直しました。
宿に帰って、カウフマンと話してる中で、プレステと変わらないから普通に走れると思う。
な~んて言ったら、「現実は違うぞ!私はプレイステイションドライバーじゃないからよくわからないけどね。」と、軽い嘲笑の上、釘を刺されてしまいました。
訓練2日目、またもや快晴です。
この日からコースに出ました。所属したグループ2はグランプリコースから始まり、ノルドシュライフェの入り口から順なので、とてもわかり易く助かりました。
コースを10分割し、1箇所2時間程度かけてラインを学びますが、おそらくノルドシュライフェェの途中から始まるグループだったら、「ココハドコ?」となって頭の中で1周つながらない事態になってたと思います。
初参加の私はまずカルガモ走行から。
これは前日のインストラクターへの挨拶が効いたのか、ステファン先生がマンツーマンで先導してくれました。
ちなみにこのステファン、日本から逆輸入の928に乗っておられます。 翌週の24hにも出場する猛者でした。
2本ほどカルガモ後、単独走行となります。
ポイントとなるコーナーでは、ガードレールの外からインストラクターがチェックしており、折り返し地点でUターンして戻る際に、その結果をフィードバックしてアドバイスをくれます。
ドイツ語では何を言ってるのか、雰囲気と身振り手振りしかよくわかりませんが、ここでは通訳を引き受けてくれた宋さんが大活躍。
車酔いしやすいと仰ってたのに、私の隣に乗ってフィードバックを通訳してくれるので、何していいのかわからん?? みたいな事態になることは全くありませんでした。
この日は、午前中が
①グランプリコースの1セクション、スプーンヘアピンの所、
②ノルドシュライフェ入り口(1~3kmポスト):Hatzenbach ~ Hocheichen
午後は
③ノルドシュライフェの続き(4~6km):Flugplatz ~ Aremberg、
④その続き(6~8km):Adenauer Forst ~ Kallenhardを学びました。
③の途中、スウェーデンクロイツでは、「Good! その車の限界を知り尽くしてるようだ!」
なんて言われて気を良くして走ってました。
1日の中で、昼食タイム含む2時間と、訓練後17~19時にそれぞれフリー走行タイムがあります。
訓練中もそうなのですが、私の隣には鬼コーチの殿様こと小松さんに乗ってもらっており、常にアドバイスを下さいます。
この日のフリーは初めて自分の運転で1周走りました。
「(速度を)おとせおとせ!」、「ファーっと!」=ブレーキ当てながら切り込んでいけ
「スーッと!」=(クリップ付いたらすぐ)ステアリング戻してGを逃がせ
「突先までアウトにつく、シャクって!」=(おそらく)コースが少し外に膨らんでるのに沿って、1度アウトに膨らんでから
・・・と仰ってる気がします。
なーんて、長島監督のような御指示をくださいます。
良くわからんのでごまかして走ると、「ダメ! 全然ダメー」なんて言われちゃうんで、どうしろと言ってるのかわかるまで、あーだこーだ喋りながら走ってます。
訓練3日目、本日も快晴なり。この日は前日の続きで、
午前中は
⑤ノルドシュライフェ中盤(8~11kmポスト):Wehrseifen ~ Bergwerk
⑥ノルドシュライフェ続き(11~14km):Kesselchen ~ Karussellです。
⑤の序盤は訓練前に外から見物したアーデナウのギャラリーコーナーを通ります。
前日からも感じていたのですが、ニュルは縁石が異常に高いです。なので、グランツーリスモじゃ内側のタイヤを縁石に引っ掛けるぐらい、思いっきり外側を走ってタイム稼いでましたが、本番はそんなことできません。
そもそも、外側のタイヤが縁石に乗るだけで強烈なショックが出て挙動が乱れます。
そうこうしながら悪名高きBergwerk、コマツ殿様は「ぼうぼうの木めがけてファーっと」「すぐにスーッと」と仰っしゃります。
コース脇のアドバイザーは、フェンスの骨が三角形になってる所めがけて。なんて言ってるようです。
落ち着いて見てみると、コーナー外側にある石畳の端っこまでに減速を終わらせINに切り込み、クリップに車の向きが変わったらすぐに外側のコースいっぱいめがけてステアリング戻していく。
そんなふうに走っていけばよろしいと気が付きました。
⑥はまず、ニキ・ラウダが落っこっちゃったコーナーを抜け、大鹿コーナーとコマツ殿様が呼ぶコーナ、これも全開で抜け、次のアウト側にあるYOKOHAMAの看板に向かいます。
YOKOHAMAから右に切り込んだらすぐ左に目線を送り、横目で右側の石畳に沿いつつちょっとアクセル戻し気味に左の高速コーナー(多分Klostertal)を抜けます。
ここではコース脇のアドバイザーから、もっとスピード出せ!と言われるので、最終的にはすべてのコーナー全開で抜けるようにしましたが、まだ、「もっとスピード出せ!」だそうです。
もう、、、車の限界なんですけど。。。
続いて右の高速コーナー。コースが一度左に広がっていくのですが、それには従わず、真ん中辺から右に切り込んでいきます。
その先、左のアウト側に寄りながら、カルーセルの1つ前です。
今度は一度コースなりに左側外にシャクって(笑)、縁石の突先まで行ったら、右に切り込んで照明か何かの柱に向かってクリップ取りに行きます。
その先はカルーセル向かってとにかくまっすぐ突き進むんですが、カルーセル自体は訓練メニューには含まれませんでした。
カルーセルはコマツ殿様に教わりまして、速度おとしめでAMGの看板めがけて侵入。脱出は半分跨いで。でした。
やってみると、侵入してからはとにかくアクセル全開でステアリングも内に切り込み気味で、通常の道ではタイヤに厳しい走り方ですね。これも、カルーセルならではのカントの付いたところの走り方でしょうか。
昼休みです。
本日はステファン先生が928の横に乗せて1周走って見せてくれるそうです。
車も運転もとてもマイルド。でも決してゆっくり走ってるわけではなく、ロールするたびにFr バンパーが地面擦ってます。そのぐらい攻めてる攻めてる。もったいなくないのか?この車。
途中、レスキューのためのコース規制あり、後半セクションがほとんどちゃんと走ってもらえませんでしたが、参考になりました。
規制解除後、前の車がノロノロして、レッカー車を速やかに追い抜かないでいたりしたときに、ステファンは豪快にクラクション鳴らして怒ってたのは内緒です。
ところどころ、コマツ殿様が仰るほどコースの外いっぱいまで使わなかったり、ちょっとどれがベストなのかわからなくなってきた部分は、帰国後PS走り込みで見つけるのかなぁ。
午後になりました。
前述のようにカルーセルは飛ばして、
⑦ノルドシュライフェ後半(14~16km):Hohe Acht ~ Brunnchen
⑧その続き(16~18km):Pflanzgarten
です。
⑦は個人的に結構攻めがいがある楽しいパートでした。
序盤は上りで、進入アウト側の縁石先端から切り込んでクリップを取りに行く感じ。リズムが大事です。中盤下りながら結構な速度で先が見にくい2つのコーナーを1つのR で繋いで曲がっていきます。
後半は左手にギャラリーを見ながらフラット目のちょっとした直線左端を全開走行。最後上りを軽くブレーキ当てながらファーっと、抜けたら石畳までアウトに逃して。
この最後のコーナーが俗称アイスコーナーと言うらしく、多分FFのシロッコでは何も起きないんだろうけど、ポルシェなど後輪駆動では、見た目以上に危ないから気をつけろだそうです。
⑧、びっくりするほど高速セクションです。
クリップに付くな~とおぼろげにも思ったら、次のコーナーのアプローチをイメージしないと間に合いません。
ジャンピングスポットのあるギャラリーコーナーに向かい、一度ポストめがけて外側に膨らみながら、直線的に加速できるラインを取ります。
ジャンプスポットを抜け右コーナー2つの複合ですが、1個めはクリップつかずに2つ目のクリップ付くことを優先します。これは傾斜が違いますが、FSW の100R のような印象です。
2つ目クリップ後、すぐ左。クリップついたら外側の石畳に沿って。石畳終わる直前ぐらいに更に左。ジェットコースターのように下っていきます。
下りの入り口では先が一瞬見えませんが、ま、なんとなく突撃~。
実はこのあとのフリー走行で、左に付くのが遅れ、ハンドル切り込みが多くなった時がありました。
左後ろが「あ、浮いちゃった!!」と思ったままジェットコースターの下り、生きた心地がしませんでした。。。
3日目のセッションを終え、夕方のフリー走行です。
毎日猿のように周回を続け、5周くらいでガソリン補給です。
先日から、コマツ殿様からも指摘ありましたが、借りたシロッコ、VSCが介入するたびにあらぬ方向へ車が向かっていきます。
前日、Rent RaceCar に戻って見てもらったときには、VSCの介入と関係あるかはっきり自覚してなかったので、タイヤ交換しとくと言う処置で終わってしまいましたが、この日は明確にわかりまして、おそらく4輪のうち何処かのブレーキにエアが噛んでる為、
VSCが軽く制動しようとしたときにブレーキ効いてない車輪があるんだと、あとから思いました。
皆様もスポーツ走行前のエア抜きは、サボらずやっといたほうが無難です。
訓練4日目、最終日も晴天なり。前日の続きで、
午前中は
⑨ノルドシュライフェ最終(8~11kmポスト):Schwalbenschw ~ Galgenkopt
⑩グランプリコースでAMG GTRの全開試乗
です。
⑨、ようやくノルドシュライフェ最終区間です。
まずはフェンスの向こう側の山肌にポツンと立った木をめがけ、全力疾走。右コーナーはなんとなく処理し、次の左に向け右側目一杯寄ります。石畳が続くので、その先端まで使って左コーナー進入。セオリー通り、アウトインアウトで進みます。
このコーナーはチェックポイントとなってまして、コマツ殿様のご指導も厳しいところです。実は、どのコーナーもそうなんですが、走ってて名前がわかりません。
ご指導中に、何とかかんとか!ってコーナー名を言われても、なんだかよくわからず、結局はコース外のインストラクターの顔が鬼瓦みたいだから、鬼瓦権造コーナーと呼んでいました。
続いて更に左コーナーを迎えますが、ここはまたもや出現、小さなカルーセル。
出口側がガバっと広いので、途中からハンドル切るのやめて、カルーセルからは飛び出して走ってましたが、
インストラクターからは、もっと中に留まるように言われました。
今思えば、次のコーナーは右コーナーなので進入は左についていたいし、カントが付いてるので中に留まってから次のコーナーに向かってもそれほど転舵抵抗受けず、最短距離で次の進入に向かえるのだと思います。
どうしてもG が大きいとそれを逃がそうという習性が働くのですが、少し頭を使って走りましょうということみたい。
最後、訓練としてはノルドシュライフェ最終コーナーです。
右コーナーなので左側縁石につきますが、ノルドシュライフェでは珍しく、終端の5m手前から切り込んでいけだそうです。
その先に目をやるとポストらしきフェンスの構造物と、km表示の白い看板が見えるので、そこまで直線的に。
通り過ぎたら更に右右右に回り込んで終了。最後の2kmに及ぶ直線に出ます。
訓練では直線以降はご指導無く、残りはコマツ殿様のご指導です。
どこだとハッキリ示せないんですが、本当の最終コーナーの1つ前、左側からレスキューなどが出てきそうな脇道があるんですが、そこもコースとして使って曲がっちゃうのは、結構目からウロコでした。
PSでもそんな路面に気づいておりませんでしたので。
⑩グランプリコースに帰ってきました。
カメムシ色のAMG GTRの試乗ができました。こりゃ速い。ロー&ワイドな見た目通り、かなり重心が低い印象。カーボン屋根も効いてるんでしょうか?
鼻が長いので、もっと曲がりにくい車なのかと思ってましたが、ちょっとステアリング切ればいくらでも曲がってっちゃいます。
ゲインが高すぎてはじめは戸惑いましたが、慣れれば問題なし。楽しく全開走行できました。
実はFSWでAMG GTには乗ったことあるんですが、Rが付くだけでぜんぜん違う車でした。この曲がり方はデフの制御で外側を積極的に回して回頭させてるのかもしれません。
惜しむらくは、前を走ってる副社長様とはブレーキングポイントが違うので、追突防止で変なところでブレーキされてしまって、ちょっと走りにくかったりしました。
後々気づいたんですが、このときインストラクターとして先導してくれてたのが、ミスターDTMのベルント・シュナイダー。頑固そうなドイツのおっちゃんって雰囲気です。
さて、昼飯と最後のフリー走行を終え、最終TESTの時間がやってまいりました。もう、できる範囲でやるだけです。
特にコメントもありません。動画が全てです。
1つだけ、スタート直後、ピットロードから1コーナーに進入は初めてで、ブレーキが遅れまくってちゃんと曲がれてないのだけ言い訳させてください。
長々と綴ってきましたが、旅行雰囲気は殆ど無い、ただ単にコースをなぞってるだけのような紀行文となりましたが、楽しんでいただけるのか、かなり不安です。
次にニュルに初めて行く方には多少の事前学習に役立ってくれたらなぁという思いです。
最後になりましたが、
お忙しい中かなりの強行軍で、一緒にスクーデリア受講してくださった副社長こと加藤さん。
ウルサイながらも意外にも色々気を回し懇切丁寧に教えてくださった殿様こと小松さん。
観光や人との交流に全く興味を示さず、ただただ運転することしか考えてない私にも、「通訳するので遠慮なく話しかけてください」と、一所懸命お相手くださった上、通訳としてだけでなく、ツアーガイド、ブッキングまで何から何までお世話になっちゃった宋さん。
皆様大変ありがとうございました。
貴重な体験を、なに不自由なくできまして、幸せなドイツ旅行となりました。
尚、最終TESTの結果は写真の通りで、3位入賞と相成りました。
これも皆様のご協力の賜物であります。
今後のポルシェクラブ六本木、ますますの発展を祈念し、ここに終了とさせていただきます。
(おわり)
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