ニュルブルクリンク(海外版スポルトファーシューレ)
参加レポート(鮎澤小百合)2023年春
それは、コロナが流行する前の2月の富士SWでの1日貸切の走行会でニュルの参加申込みの用紙を持って熱心にお誘いを受けた。「絶対に後悔させない!」というその熱心さに心引かれて参加することにした。
しかし、コロナの大流行で航空券を予約したにもかかわらず、行くことが出来ない状態になって…3年後、「最後かも」という言葉を聞いてニュルブルクリンクへ。
4月28日(金)、先発隊の情報が刻々とラインに入って来る。
寒いって感じだけど本当にダウンジャケットはいるのかな?と思いつつスーツケースにいっぱい洋服を詰めて出発。JALの共同運航便、フィンエアでヘルシンキ乗継でフランクフルトへ。door-to-doorで24時間。
4月29日(土)午前9時半フランクフルト空港到着。お気に入りのスーツケースのキャスターがボディごと破損!どうにか身振り手振りで証明書発行を完了した。新しい方のスーツケースだっただけにショックが大きい。
そうこうしているうちに、待ち合わせの11時に。先発隊の皆さんと合流。昼食、初めてのドイツでの食事は「鮨元」で握り寿司!
それからはミステリーツアーの始まりで、高速でどのくらいの距離の移動をするのか、何処へ行くのか、何をするのか。夕食、全員合流してイタリアンレストランで食事。日本では真夜中であろう時間、時差ボケはほぼ感じない一日目だった。
二日目、初めて見るニュルブルクリンク。外周の見学で、高速で団子状態で走る車!いつ事故が起きてもおかしくない状態。こんなところ本当に私が走れるのか?とにかく、どう走るのか覚えないと!サーキット自体のコースが頭に入ってなく、もっと準備が必要だったと痛感。
ポルシェのレンタカーの契約。保証金17500ユーロ、日本円の17500円のつもりでサインしてしまったが、円換算すると驚きの値段。完全に金銭感覚がマヒしてしまった。
ニュルブルク城の見学。空はとても青く最高のお天気、ニュルブルクリンクが一望でき、景色は近くの日光霧降の峠に似ていて親近感も覚える。やっと、ドイツに来たんだなと実感できる日だった。
三日目、連泊しているホテルランテルナの朝食はとても美味しい。現地ならではのハムにチーズ、パンも香ばしくて種類もたくさんある。だんだんと周りの人との会話も増えて楽しくなって来た。
朝8時半集合出発。今日からSCUDERIA HANSEAT開始。初参加者は初参加者講習がある。トレーニング会場への移動。ゼッケンの貼付け。一つの余裕もなく次から次へとこなさなければいけない。
初めての左ハンドルでドリフト!椅子の調整もする時間がない。最後の水が壁になるトレーニングで講師をしているカウフマンさんに「ブラボー!」と褒められたのは凄い自信になって、去年富士SWのショートサーキットでのブレーキングの訓練が役に立ったと思った。
昼食はアイスワインが有名なレストラン。高級な感じでおとぎ話に出てくるような石造りの建物。ドイツならではのソーセージがとても美味しかった。
着いたのが14時半くらいだったのに食べて直ぐ18時半~スクーデリアのウェルカムパーティー!なんとかデザートだけでもお腹に押し込んだ。
イベントホールでのウェルカムパーティーは壮大で200~300人はいるのか!?ほとんどが同じくらいの年代の人達で、みんなもやっと自分の人生に時間が出来て人生を楽しんでいるんだなと感じた。
四日目、連日夜は遅くて朝が早い、7時集合出発。ニュルのコースを何分割かしてそこを行ったり来たりとコースの訓練が始まる。小雨が降っていてとても寒い。
自分がコースのどの場所にいるのかさっぱり分からず、進んでいるのか戻っているのかも分からなくなって来る。休憩はあるのか?いつ終わるのか?トイレに行きたくても仮設トイレしかない!
言葉も分からず手探り状態の初日は、とてもハードだった。後で写真を見返すとだんだん険しい表情になっている。来年はもっと笑顔で走りたい。
五日目、何と言っても寒暖差が激しい。ダウンのコートは必須だった。本当に持って来て良かった!
昨日のセッションの続き。なんとなく流れも分かって来て。でも、ライン取りは上手くいかない。まだ、一人でコースを走っていない。怖い気持ちが抜けない。
一人で走るのは怖いので小松さんに頼んで隣に乗って貰うことにした。やっと一周自分の運転で完走出来た。小松さんにアドバイスを貰いながら「ハンドルはあまり切っちゃダメ!」とかブレーキングとか、緊張をしながらの走りで怖い思いをさせてしまったけれど、隣に乗ってくれてありがとうと感謝しかない。
また、高間さんに乗せて貰った時は、ポイント等を重点に教えて貰って、やっとコースの走り方が分かるようになり、スピードがあっても流れるような走りにこんな風に走ればいいのかと思った。
六日目、ファイナルテスト。ぶつけ本番で一人で走らなくてはならない。
午前中はセッション。昼食を取る暇もなく、スタンバイ。果たして完走出来るのか。何処で待機したら良いか迷っての、緊張が最高潮のスタート。フラッグが振り降ろされて、グランプリコース、目印のコーンはない。
どうにかコースを間違えないように北コースに出なければ。BMWの目印!良かった!北コースに入れた!見えた!2Kmポスト!・・・途中、後ろの車に抜かされてしまったが、無事に完走!テストの点数で言えば悔しさがあるけど、満足。来年も来てもっと良く走りたい。
表彰式のパーティー。初めて自分で着る着物。出発日の10日前からの猛特訓。着付けの先生、呉服店、茶道の先生をはしごして、「一日3回練習しないと間に合わないわよ」と言われ、腕に湿布を張りながら、着たり脱いだりを繰り返し練習。なんとか着れるようになったものの不安。
テストの後、なんとか時間が出来て髪をセットして無事に着付けも完了!良かった!何年も前から、着付けを習いたいと思っていたものの後回しに。何事も切羽詰まらないと、出来ない性格なんだと再確認。ニュルブルクリンクも今度は動画やプレステで練習して望みたい。
パーティーはとても華やかで盛大だった。記念のカップや女性には黄色のバラの花。
小松さんのドイツやニュルブルクリンクに対する貢献の表彰もとても感激。小松さんの今まで培ってきた人脈の広さに尊敬、こんな貴重な体験が出来るのも改めて小松さんのお陰なんだとしみじみ思う。本当に感謝しかない。
七日目、シュトゥットガルト。明日は帰国。
ランテルナのシルビアさん、弁護士のヴァバームさん、ポルシェレンタカーのテオさん、インストラクターのクラウディアさん、ステファンさんの名車の数々、金の鹿ビショプ氏、レーサーニコさん等々いろいろな出会い。
今度は英語を話せるようになりたいとつくづくそう思う。
八日目、ポルシェミュージアム。外にある空に向かって走るポルシェのオブジェ。オシャレで洗練されたデザインの建物。名車がずらりと並んでいる。
一つ一つじっくり見ていたら時間が足りない。お土産のチョコレートのお菓子も可愛い。もう、帰る時間だ。本当に楽しい時間、楽しい思い出、楽しい仲間。
1ヶ月たった今も余韻が残っている。また、ニュルブルクリンクで風を切って走りたい。もっと速くもっと上手に。
皆様にはいろいろとお世話になりました。ありがとうございました。
鮎澤 小百合